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冷水とお薬の服用

カフェイン含有飲料やグレープフルーツジュースなどが薬の代謝に影響を与えることは薬剤師の間ではよく知られており、患者さんには薬は水で飲むように説明するのが一般的です。しかし、水の温度によっても薬の体内動態に影響が出る可能性があることは、案外知られていません。

飲食物の温度が胃の運動に与える影響を検討した報告はいくつかあります。摂取した水の温度と量が胃運動に及ぼす影響を調べた研究では、65℃の湯を飲用したときには、何も飲まないときに比べて胃運動が増加し、15℃の水の飲用では減少すると報告されています。

また、内容物の胃からの排出量と胃内温度を直接測定した海外の検討では、体温より低い温度(4℃)の液体を飲んだときは胃排出率が低下し、胃内温度も体温とほぼ同じ37℃に戻るまでに約30分を要したと報告されています。

胃排出能(胃からの内容物の流れやすさ)が、食事の温度によって変化するという報告もあります 3)。半消化体栄養剤であるラコールを用いて、常温食と高温食(60℃)、低温食(4℃)が胃排出能に与える影響を調べたところ、常温食に比べて高温食は有意に胃排出能を亢進させることが分かっています。

温度の低い飲食物を摂取した場合に胃運動が減少する理由として、胃は冷たい飲食物が体温と同温度になってから排泄して腸に送る働きがあり、そのため胃収縮がゆっくりになることが考えられています。

これらのことから、冷たい水での服薬は、体内動態に影響を与える可能性があると考えられ、体温に近い温度の水で服用するのがよいといえるでしょう。

なお、水道水は冬場では10℃以下になることも多く、夏場でも30℃を超えることはありません。したがって、水道水は少し体温より低いことになります。「薬は、人肌ぐらいの白湯で飲むようにしましょう」。